
健診でHbA1c 6.0%と言われたら?受診から検査までの流れを解説
はじめに
健康診断の結果を見て、「HbA1c 6.0%」という数値が気になったことはありませんか?
「糖尿病になってしまったのではないか」「病院を受診したほうがいいのか」「受診したら、どんな検査をするのか」と不安になる方も少なくありません。
HbA1c 6.0%だけで糖尿病と診断されるわけではありません。しかし、血糖値が高くなっている可能性を確認し、今後の糖尿病リスクを評価するためには、一度医療機関で詳しく調べることが大切です。
今回は、健診でHbA1c 6.0%を指摘された方を例に、当院における受診から検査、結果説明までの流れを分かりやすく解説します。
健診で「HbA1c 6.0%」と指摘された
まず知っておきたいのは、HbA1c 6.0%=糖尿病というわけではないということです。
HbA1cは、過去1~2か月程度の血糖の状態を反映する検査です。糖尿病の診断ではHbA1cだけでなく、空腹時血糖値や随時血糖値、必要に応じて75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)などの結果を組み合わせて判断します。
日本糖尿病学会では、HbA1c 6.5%以上は「糖尿病型」の判定基準の一つとされていますが、一方、HbA1cが6.5%未満でも血糖値が高い場合があるため、HbA1cだけで判断することはできません。
そのため、健診でHbA1c 6.0%を指摘された場合は、
「糖尿病かどうかを確認する」だけでなく、「現在の血糖状態を詳しく確認する」
ことが受診の目的になります。

当院における受診から検査までの流れ

1. ご予約について
受診前に予めWEBまたはお電話にてご予約ください。
WEB予約の場合:住所、氏名などの入力後、ご来院日時を選択します。その後、「糖尿病初診時問診票」のご入力をお願いいたします。受診前に予めご入力いただきますと当日スムーズにご案内が可能です。あるいは、ご受診時に院内にて紙面でのご回答方法も承っておりますので、ご不明な点がございましたらスタッフまでお声掛け下さい。

2. 受診当日
健診結果をご持参いただき、受診となります。初めてのご受診の際には食事制限はございません。診察後に必要に応じて検査のご説明をいたします。
<持ち物>
- マイナ保険証あるいは資格確認書
- 健診結果(予め印刷していただくとスムーズです)
- マスク
- お薬手帳(お持ちであれば)
受付後、まず問診票の確認を行います。
- 健診で指摘された項目
- HbA1cや血糖値などの検査結果
- これまでの健診結果
- 糖尿病の家族歴
- 体重の変化
- 食事や運動習慣
- 現在服用している薬
- これまでに糖尿病や血糖値について指摘されたことがあるか など
特に、今回のHbA1cだけを見るのではなく、過去の健診結果と比較することが重要です。
例えば、以前のHbA1cが5.5%で、今回6.0%になっていた場合と、以前から6.0%前後で推移している場合では、その後の対応が異なることがあります。

3. 診察で現在の状態を確認します
身長・体重や血圧などを確認し、必要に応じて生活習慣や体重の変化について詳しくお話を伺います。
ここで重要なのは、HbA1cの数字だけで糖尿病の有無を判断しないことです。
健診結果の血糖値や過去の検査結果、家族歴、体格、生活習慣などを総合的に確認し、どのような検査が必要なのかを判断します。
4. 血液検査を行います
必要に応じて、血液検査で現在の血糖状態を詳しく確認します。例えば健診を受けた同じ月であれば省略することもあります。
主に確認するのは、
- 血糖値
- HbA1c
- 必要に応じてインスリンなどの関連項目
- 肝機能
- 腎機能
- 脂質
などです。
特に血糖値は、その時点で血液中にどのくらいブドウ糖が存在しているかを確認する検査です。
一方、HbA1cは一定期間の血糖状態を反映するため、血糖値とHbA1cを組み合わせて確認することで、現在の血糖状態をより詳しく評価できます。
5.尿検査も行います
糖尿病が疑われる場合には、尿検査も行います。尿糖や尿たんぱくなどを確認し、血糖値だけでは分からない情報を確認します。特に糖尿病では、腎臓の状態を確認することも重要です。
そのため、血糖値だけを見るのではなく、糖尿病に関連する合併症や腎機能についても必要に応じて確認することがあります。
6.検査結果を確認し、今後の方針を決めます
検査が終わったら結果を確認します。血糖値やHbA1c、尿検査は当日結果をお伝えいたしますが、それ以外については後日ご来院いただきます。
例えば、
A. 血糖値・HbA1cともに大きな問題がない場合
現時点で糖尿病と診断される状態ではない場合、食事や運動などの生活習慣についてアドバイスを行い、定期的な健診や血液検査で経過を確認します。
B. 血糖値がやや高い場合
糖尿病には至っていなくても、血糖値が高めである場合があります。この場合は、体重、食事、運動などの生活習慣を見直しながら、定期的に血糖値やHbA1cを確認していきます。
C. 糖尿病が疑われる場合
血糖値やHbA1cなどから糖尿病が疑われる場合には、追加検査や再検査を行い、糖尿病であるかどうかを詳しく確認します。
日本糖尿病学会の診療ガイドラインでは、診断が確定しない場合には血糖値・HbA1cの再検査や、必要に応じた75gOGTTなどを行いながら判断します。
7.必要に応じて「75gOGTT」を行うことがあります
血液検査だけでは糖尿病の状態を判断しにくい場合には、75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)を行うことがあります。これは、ブドウ糖を含む飲料を飲み、その前後で血糖値などを測定する検査です。
「空腹時の血糖値はそれほど高くないけれど、食後に血糖値が上がっている」といった状態を確認するためにも役立ちます。
健診でHbA1cが6.0%だったからといって、必ず75gOGTTを行うわけではありません。
血糖値やHbA1c、これまでの検査結果などを総合的に判断し、必要な場合に追加します。検査の詳細については以下のブログをご覧ください。
➡️ブログ「75gOGTTとは?糖尿病精密検査について医師が解説」
8.「HbA1c 6.0%」をきっかけに、自分の血糖状態を確認しましょう
健診でHbA1c 6.0%と言われると、「糖尿病になった」と考えてしまう方もいるかもしれません。
しかし、HbA1c 6.0%だけで糖尿病と診断されるわけではありません。
一方で、「まだ糖尿病ではないから大丈夫」とそのままにしてしまうのもおすすめできません。
血糖値が高くなっている原因や、今後糖尿病になるリスクを確認するためにも、健診結果をご持参いただきご相談ください。
まとめ
健診でHbA1c 6.0%を指摘された場合、まずは過度に心配する必要はありません。当院では、
問診・健診結果の確認 → 診察 → 血液検査・尿検査 → 結果説明
という流れで現在の血糖状態を確認します。
必要に応じて75gOGTTなどの追加検査を行うこともあります。
糖尿病は、早い段階で血糖値の変化に気づき、生活習慣を見直すことで将来の発症リスクを下げられる可能性があります。
「HbA1cが少し高いだけだから」と放置せず、健診結果が気になった方は一度ご相談ください。
糖尿病関連おすすめブログ
➡️ブログ「CGMとは?糖尿病の持続血糖測定を医師が分かりやすく解説」
➡️ブログ「HbA1cとは?血糖値との違いを医師が解説」
➡️ブログ「食後高血糖とは?見逃されやすい血糖上昇について医師が解説」
➡️ブログ「健診で異常が出たら?糖尿病の初期症状と受診の目安を医師が解説」
➡️ブログ「足の裏、最後に見たのはいつですか?」
➡️ブログ「糖尿病フットケアの実際」
➡️ブログ「糖尿病フットケア月間を振り返ってQ&A」
➡️ブログ「糖尿病の3大合併症その1 -神経障害について- 【医師が解説】」
➡️ブログ「糖尿病の3大合併症その2 -網膜症について- 【医師が解説】」
➡️ブログ「糖尿病の3大合併症その3 -腎症について- 【医師が解説】」
➡️ブログ「妊娠糖尿病について【医師が解説】」
➡️ブログ「糖尿病合併妊娠とは?妊娠前から糖尿病がある方が知っておきたいこと」
➡️ブログ「75gOGTTとは?糖尿病精密検査について医師が解説」
参考文献
-
日本糖尿病学会「糖尿病治療ガイド2024」

筆者 井上光子(副院長)
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医
内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医(領域指導医)
武蔵小金井みどりクリニック
糖尿病内科・内分泌内科・内科





