
〜糖尿病フットケア月間を振り返って〜
はじめに
当院では、今年の7月から9月を「糖尿病フットケア月間」として、ブログ記事や院内掲示を通じて足の大切さをお伝えするとともに、外来を受診されたすべての糖尿病患者様の足を確認させていただきました。診察の一環として足をチェックすることで、患者様ご自身が気づいていなかった小さな変化やリスクに早めに対応できるよう、また患者様にフットケアの重要性を知っていただきたいと考え、このキャンペーンを実施いたしました。
フットケアをもっと早く知りたかった
実際の疑問・質問
「糖尿病と診断されてから何年も治療を続けていますが、これまでフットケアについて詳しく教わったことはありませんでした。血糖コントロールや食事の指導はたくさん受けましたが、足のケアがこれほど大事だなんて知りませんでした。もっと早く教えてもらえていたら普段から意識できたのに、なぜなかなか話題に挙がらないのですか?」
Answer
糖尿病治療では、血糖や生活習慣の管理に注目が集まりやすく、残念ながらフットケアは後回しになりがちです。しかし、実際には日々の足の観察やお手入れが、将来の合併症予防につながります。当院では診察の中で一緒に足の状態を確認し、セルフケアの方法もお伝えしています。「もっと早く知りたかった」と思われる方も少なくありません。繰り返しになってしまいますが、病院での治療も重要ですが、フットケアはご自身での日々の取り組みがポイントとなります。
足のしびれチェック
実際の疑問・質問
「多少しびれは感じていましたが、特に生活に支障はないので気にしていませんでした。先生から音叉を使った検査を受けたのですが、自分では感じにくくなっていることに気づき、本当に驚きました。裸足になるだけで特別な準備もいらないのに、こんなに分かるものなのかと感心しました。検査はあっという間に終わりましたが、しびれのチェックは1回だけで大丈夫ですか?」
Answer
定期的なチェックが必要です。糖尿病では、神経障害の有無を確認することがとても重要です。足にしびれを少しでも感じる方は、音叉での検査で異常が見つかることがほとんどです。定期的にチェックを行うことで、ご自身の状態を知って頂き、トラブルを早期に防ぐことができます。
家族から指摘されて気づいた足の変化
実際の疑問・質問
「自分では特に変わりはないと思っていたのですが、家族から『足の爪が変だよ』と指摘されて初めて気づきました。分厚くなっているものの目が悪いためか自分ではよく分からず、受診するまでどうしたら良いかわかりませんでした。自宅でのフットケアの方法を教えてもらいましたが、全て自分自身で行わなければなりませんか?」
Answer
足のトラブルは、初期の段階では痛みが少ないため、本人が気づきにくい場合があります。また、糖尿病のため目が悪くなっている方もいらっしゃいます。そのため、ご家族のサポートが大切になります。足の傷やタコ、ウオノメ、爪の形や色、匂いなどに疑問がありましたらお声掛けいただきたいと思います。ご一緒に足のチェックを行い、異常があれば早めに対応します。ご本人だけでなくご家族様の気になることがあれば受診していただくことが、重症化を防ぐ第一歩です。また、ご自宅でのセルフケアについてもご家族様にも説明させていただきますので、ご安心いただければと思います。サポートが得にくい状況であれば鏡を使用した方法などもご紹介させていただきます。
まとめ
足のケアは「難しいこと」ではなく、日常生活の中に取り入れられる「小さな習慣」です。日々の観察で、早めに変化に気づき、必要に応じて医療機関を受診することで、安心して生活を続けることができます。糖尿病と付き合う毎日の中で、ぜひフットケアを取り入れてみてください。
フットケア関連ブログ
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