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甲状腺の血液検査とは?TSH・FT4・FT3をわかりやすく解説

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甲状腺の血液検査とは?TSH, FT4, FT3についてわかりやすく解説

甲状腺の血液検査とは?TSH・FT4・FT3をわかりやすく解説

はじめに

健康診断や人間ドック、医療機関での血液検査で、「TSHが高いと言われた」、「FT4が低いけれど、どういう意味?」、「甲状腺の数値に異常があると言われたけれど、症状はないなぁ」といった経験はありませんか?

あまり聞き馴染みの無い検査ですが、甲状腺の働きを調べる血液検査では、主にTSH・FT4・FT3という項目を確認します。名前だけを見ると少し難しく感じますが、大切なのは、①TSHは甲状腺への「指令」、②FT4・FT3は甲状腺ホルモンという関係です。そして、これらの検査値は1つだけを見るのではなく、組み合わせて評価することが重要です。

今回は、甲状腺の血液検査でよく調べるTSH・FT4・FT3について、それぞれの意味や検査値の見方を解説します。

甲状腺の血液検査について_よく見る3項目

甲状腺とは?

はじめに、甲状腺はのどぼとけのすぐ下あたりにある小さな臓器です。蝶が羽を広げたような形をしており、「甲状腺ホルモン」を作っています。

甲状腺ホルモンには体の新陳代謝を調節する働きがあり、心拍、体温、体重、消化など、全身のさまざまな機能に関係しています。

そのため、甲状腺ホルモンが多すぎたり少なすぎたりすると、脈の変化、体重変化、暑がり・寒がり、便通の変化、疲れやすさなど、さまざまな症状が現れることがあります。

甲状腺の血液検査について_解剖学的位置

TSHとは?

TSHは「甲状腺刺激ホルモン(Thyroid-stimulating hormone)」と呼ばれるホルモンです。名前に「甲状腺」と入っていますが、甲状腺から作られるホルモンではありません。脳にある下垂体という場所から分泌され、甲状腺に対して、「甲状腺ホルモンを作ってください」という指令を出す役割があります。

甲状腺ホルモンが不足してくると、体は甲状腺をもっと働かせようとしてTSHを増やします。反対に甲状腺ホルモンが多くなると、TSHを減らして甲状腺への刺激を弱めます。

この仕組みがあるため、TSHは甲状腺の働きを評価するための重要な指標になります。

甲状腺の血液検査について_ホルモン調整

FT4・FT3とは?

FT4とFT3は、甲状腺ホルモンの状態を調べる検査です。FT4(遊離サイロキシン)は、甲状腺から分泌される主要なホルモンです。

一方、FT3(遊離トリヨードサイロニン)はFT4よりも生理活性が高く、体の代謝などに作用します。FT4の一部は体内でFT3に変換されます。

そのため、甲状腺の働きを調べるときには、TSHだけでなくFT4やFT3も必要に応じて確認します。

甲状腺の血液検査について_ホルモンの役割

TSHが高い場合は?

TSHが高い場合、代表的な疾患として甲状腺機能低下症が考えられます。甲状腺ホルモンが不足すると、脳の下垂体は、「もっと甲状腺ホルモンを作ってほしい」と判断してTSHを多く分泌します。そのため、

TSHが高い + FT4が低い

という組み合わせは、甲状腺機能低下症でみられる代表的な検査パターンです。

また、FT4が正常範囲内でもTSHだけが高くなっている場合があり、「潜在性甲状腺機能低下症」と呼ばれる状態などが考えられます。

ただし、TSHが高いという結果だけで病名が決まるわけではありません。検査値の程度、症状、過去の検査結果、服用している薬などを含めて判断します。

甲状腺の血液検査について_TSHが高い場合

甲状腺機能低下症についての詳細はこちら
➡️ブログ「首が腫れている!?- 甲状腺機能低下症 –」

TSHが低い場合は?

反対にTSHが低い場合には、甲状腺ホルモンが多くなっている可能性があります。

甲状腺ホルモンが多くなると、脳の下垂体は甲状腺への刺激を減らそうとして、TSHの分泌を抑えます。そのため、

TSHが低い + FT4またはFT3が高い

という組み合わせでは、甲状腺中毒症などが考えられます。その原因の一つとしてバセドウ病があります。甲状腺ホルモンが過剰になると、動悸、手の震え、暑がり、汗が増える、体重が減るなどの症状がみられることがあります。

ただし、甲状腺中毒症にはバセドウ病以外にも複数の原因があります。

甲状腺の血液検査について_TSHが低い場合

甲状腺中毒症についての詳細はこちら
➡️ブログ「首が腫れている!? -甲状腺中毒症-」

TSH・FT4・FT3の組み合わせが大切です

ここまでの内容をまとめると、甲状腺の血液検査ではTSHだけでなく、FT4やFT3との組み合わせを見ることが大切です。

甲状腺の血液検査について_組み合わせて解説

甲状腺の抗体検査とは?

TSH・FT4・FT3によって「甲状腺がどのように働いているか」を調べることができます。

しかし、それだけではなぜ甲状腺の働きに異常が起きているのかが分からない場合があります。そこで、必要に応じて甲状腺に関連する「自己抗体」を調べます。代表的なものには、

  • TRAb(TSH受容体抗体)
  • 抗TPO抗体
  • 抗サイログロブリン抗体(TgAb)

などがあります。

TRAbはバセドウ病、抗TPO抗体やTgAbは橋本病などを評価する際に使用されます。すべての患者さんにすべての抗体を調べるわけではなく、症状やTSH・FT4・FT3などの結果から必要な検査を選択します。

甲状腺の血液検査について_自己抗体検査

甲状腺エコーを行うこともあります

甲状腺の診療では、血液検査だけでなく、必要に応じて甲状腺超音波(エコー)検査を行います。

血液検査が主に甲状腺の「働き」を調べる検査なのに対して、超音波検査では甲状腺の大きさや内部の状態、しこり(結節)の有無などを確認できます。そのため、血液検査と超音波検査は目的が異なります。

 

健診などで甲状腺の異常を指摘されたら

甲状腺の検査値に異常があっても、必ずしも強い症状があるとは限りません。

「特に体調は悪くないから大丈夫」と考えてしまうこともありますが、症状がほとんどない状態で甲状腺機能の異常が見つかることもあります。

一方で、一時的な変化などによって検査値が基準範囲から外れる場合もあります。

そのため、検査結果だけを見て自己判断するのではなく、異常を指摘された場合には一度医療機関で相談することが大切です。

こんな場合はご相談ください

  • 健診などでTSHが高い・低いと言われた
  • FT4・FT3の異常を指摘された
  • 首の腫れ・しこりを指摘された
  • 動悸・手の震え・体重減少などが気になる
  • 寒がり・むくみ・便秘・疲れやすさなどが気になる

まとめ

甲状腺の血液検査では、主にTSH・FT4・FT3を確認します。

TSHは甲状腺への「指令役」、FT4・FT3は甲状腺ホルモンです。

これらを組み合わせて評価することで、甲状腺ホルモンが不足しているのか、多くなっているのかなどを調べることができます。

ただし、1つの検査値だけで病気を診断することはできません。

必要に応じて抗体検査や甲状腺超音波検査などを追加し、症状や経過も含めて総合的に判断します。

健康診断やほかの医療機関で甲状腺の異常を指摘された方、甲状腺に関連する症状が気になる方はご相談ください。

参考文献

  • 日本甲状腺学会.甲状腺疾患診断ガイドライン2024.
  • 日本甲状腺学会.診断ガイドライン・診療ガイドライン.
  • 日本甲状腺学会 編.バセドウ病治療ガイドライン2019.
  • 日本内分泌学会 編.内分泌代謝科専門医研修ガイドブック.

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➡️ブログ「首が腫れている!? -甲状腺中毒症-」
➡️ブログ「首が腫れている!?- 甲状腺機能低下症 –」
➡️ブログ「妊娠と甲状腺について」

副院長写真

筆者 井上光子(副院長)
日本糖尿病学会 糖尿病専門医・指導医
日本内分泌学会 内分泌代謝科専門医・指導医
内分泌代謝・糖尿病内科領域 専門研修指導医(領域指導医)

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