ペットボトル症候群とは? 〜身近な飲み物に潜む健康リスク〜|東京都小金井市の武蔵小金井みどりクリニック|内科・糖尿病内科・甲状腺疾患・生活習慣病・高血圧症・脂質異常症・内分泌疾患・予防接種

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ペットボトル症候群とは? 〜身近な飲み物に潜む健康リスク〜

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ペットボトル症候群とは? 〜身近な飲み物に潜む健康リスク〜

暑い日や運動の後など、手軽に水分補給ができるペットボトル飲料は私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、そんな便利なペットボトル飲料の摂りすぎが原因で体に異常が起こることがあるのをご存知でしょうか?今回はペットボトル症候群について考えていきましょう。

ペットボトル症候群とは?

ペットボトル症候群は、糖分の多い清涼飲料水過剰に摂取することにより、高血糖状態となり、進行してしまうと最終的に糖尿病性ケトアシドーシス(※)という危険な状態に陥る病気です。特に若い人や男性、肥満の方に多く見られます。
ペットボトル症候群という名称は、ペットボトルの清涼飲料水を日常的に過剰に飲んでいることが原因の一つであることから命名された俗称であり、医学的には「清涼飲料水ケトーシス(※)」と言います。

主な原因

ペットボトル症候群の主な原因は、以下のような糖分の多い飲料の過剰摂取です:
 ⚠️炭酸飲料(コーラ、サイダーなど)
 ⚠️エナジードリンク
 ⚠️スポーツドリンク
 ⚠️果汁飲料
 ⚠️加糖コーヒーやミルクティー

これらには1本(500ml)あたり約3060gの糖が含まれており、知らないうちに大量の糖を摂取している可能性があります。ただし、全てのペットボトル飲料が原因ではありません。ミネラルウォーターや無糖飲料、あるいは人工甘味料のみを使用した飲料はペットボトル症候群を引き起こしません。

発症機序

清涼飲料水の多飲による血糖上昇」⇄「血糖上昇による口渇」の悪循環にあります。問題となるのは、あくまでも清涼飲料水の「過剰摂取」なので、最近のような暑い日に適量を飲むことは問題になりません。

気をつけたい症状

ペットボトル症候群によって起こる主な症状には以下のようなものがあります:
 ✅異常な「喉の渇き」とそれを補おうとする「多飲」
 ✅トイレに行く回数が増えた(頻尿)
 ✅身体がだるい・疲れやすい(倦怠感)
 ✅吐き気・腹痛

 これらの症状が出た場合は、すぐに医療機関を受診することが重要です❗️

なぜ危険なのか?

糖の多い飲料を摂りすぎると、血糖値が急激に上がり重篤な脱水を引き起こします。さらに、血糖値を下げるためのインスリン分泌が追いつかない状態が続くと、ケトン体(※)という物質が過剰に生成されます。この高ケトン体血症と脱水によって血液が酸性に傾き、進行すると意識障害や昏睡といった命に関わる重篤な状態を引き起こす危険があります。

予防法

ペットボトル症候群を防ぐためには、以下のような工夫が大切です
 ⭕️ 清涼飲料水の摂取を控える → のどが渇いたときは、水や麦茶をこまめに分けて飲みましょう。
 ⭕️ 成分表示をチェックする習慣をつける →  飲料にどれだけの糖が含まれているかを意識することが大切です。 

「甘い飲み物を習慣化させない」ことが大切です。

まとめ

ペットボトル症候群は、誰にでも起こりうる生活習慣病の一つです。手軽に飲める清涼飲料も、摂り方を誤れば健康に大きな影響を及ぼす可能性があります。

「なんとなく甘い飲み物を飲む習慣」を見直し、健康的な水分補給を心がけましょう。

用語解説
  • ケトン体:アセト酢酸(acetoacetic acid: AcAc)、3-ヒドロキシ酪酸(3-hydroxybutyric acid: 3-OHBA)、およびアセトン(acetone)の3つを合わせた総称。これらは肝臓の細胞によって遊離脂肪酸(free fatty acid: FFA)から生合成される。AcAc3-OHBAはいずれも酸性物質であるため血中濃度が上昇すると代謝性アシドーシスを生じ、ケトアシドーシスに至ることもある。
  • ケトアシドーシス:血中総ケトン体は3 mmol/L以上、3-OHBA/AcAcは3以上となっており、意識障害や昏睡などを引き起こし、生命の危機を大きく脅かす状態。
  • ケトーシス:血中のケトン体が上昇している状態。
参考文献

・糖尿病専門医研修ガイドブック 改訂第6版
ライフスタイルと糖尿病―ソフトドリンクケトーシスの背景を考える―野中共平
・糖尿病治療ガイド2024 日本糖尿病学会
・糖尿病診療ガイドライン2024 日本糖尿病学会

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